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万葉仮名とは「真(ま)仮名」「男仮名」ともいい、簡単に言うと、現在われわれが使っている片仮名や平仮名の生まれる以前に用いられていた“仮名”のことだ。 いいかえると、昔の人が日本語表記のための主として表音、あるいは表意文字として用いたかんじのこと。 万葉仮名は古事記、日本書紀にも用いられているが、万葉集に用いられているのが最も多く、かつ種類も多いので、この名があるわけである。 例を挙げてみよう。例えば万葉集一四四七には、次のような唱が載っている。 尋常(よのつね)に聞くは苦しき呼子鳥(よぶこどり)声なつかしき時にはなりぬ 意味は、平生聞くのは苦しい呼子鳥だが、その声を懐かしく感じる春になった、というのだ。がこれを、もとの万葉仮名ではどう書かれているか、調べてみると、 尋常 聞者苦寸 喚子鳥 音奈都炊 時庭成奴 と出ている。 つまりこれを「よのつねに、きくはくるしき…」と読ませるわけである。 「なんだ、ずいぶん無理な読ませ方をするんだな」 などとつぶやきたくなる方もおられるだろう。まったくその通りである。しかも万葉集の場合、たんに上のような歌だけを万葉仮名で書いたわけではない。例えば、上の歌には「大伴坂上郎女の歌一首」という前書きがあり、また歌のあとには「右の一首は点表四年三月一日に佐保の宅(いえ)にて作る」という左注があるが、これらもみな万葉仮名でかかれているのである。 なぜか?―言うまでもなく、万葉集ができたころ、というと、今から1200年ぐらいまえであり、お隣の中国では有名な詩人李白や杜甫が没した頃だが、そのころは現在われわれが使っているような便利な仮名はなかった。中国語を表すための漢字しかなかったのだ。 だから漢字で書くより仕方がなかった。 だが、それには当然のことながら相当の困難がともなった。短期間で熟練するわけもなかった。とはいえ、五、六世紀の金石文(鼎鐘・石碑など金石に表された文字)などにみられるような漢字による日本語表記の努力を経ていたから、万葉集が出来た頃にはかなり習熟してはいた。しかしその用法たるや複雑多様であり、こんにちのわれわれが「何だ、ずいぶん無理な…」と思わずつぶやきたくなるほどなのだ。ついでだから、その複雑多様ぶりを、学者の整理分類したものによって、ちょっと垣間見てみよう(平仮名は読み方) A 表意文字 吾(われ)、君(きみ)、暖(はる)、寒(ふゆ)、年魚(あゆ)、白水郎(あま)、丸雪(あられ)、未通女(おとめ)、神祇(かみ)、京師(みやこ)、餓鬼(がき)、布施(ふせ) B 表音文字 阿(あ)、多(た)、安(あ)、太(た)、南(なむ)、念(ねむ)、射(い)、蚊(か)、市(ち)、跡(と)、巻(まく)、蟻(あり)、申(まし)、五十(い)、嗚呼(あ) C 偽書 山上復有山=出、神楽声・神楽・楽=ささ、追馬喚犬=そま、馬声=い、峰音=ぶ、牛鳴=む、二二・重ニ・並ニ=し、ニ五=とを、十六=しし、、八十一=くく、火=なむ、 もっとも、こんな専門的なことを書いても、読者にはあまり興味はないかも知れない。そこで、おしまいに、もっと分りやすい古語辞典の「万葉仮名一覧表」をちょっとのぞいて見よう。全部書く必要もあるまいから、そのなかのたとえば「さ」と読む万葉仮名の項をみると、 さ=佐、沙、作、紗、酢、柴、草、散、積、者、舎、差、婆、磋、狭、瑳 などがある。 たった一字の「さ」だけでこうなのだから、その複雑多様さがわかろうというもの。 SAMMY−P ポチしてくれたらうれしいです! にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村 ![]() //////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// |
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