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help リーダーに追加 RSS 七十歳のことをよく「古稀(こき)」というが、どこから出た言葉か?

<<   作成日時 : 2008/10/28 20:24   >>

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さて、

中国“唐”の詩聖、杜甫(とほ)は四十七歳ころ(758年)長安にあって、天子の側近に侍して、その過ちを諫(いさ)める「左拾遺(さしゅうい)」という官職についたとき、「曲江(きょくこう」二首という詩を作った。



 朝(ちょう)より回(かえ)りて日々に春衣(しゅんい)を曲(てん)し

 毎日江頭(こうとう)に酔(よい)を尽くして帰る

 酒債尋常(しゅさいじんじょう)行く処にあり

 人生七十古来稀なり

 花を穿(うが)つ蛺蝶(きょうちょう)は深々として見え

 水に点(てん)する蜻蜓(せいてい)は款款(かんかん)として飛ぶ

風光(ふうこう)に伝語(でんご)す共に流転しつつ

暫時(ざんじ)相い賞(しょう)して相い違(たご)うこと莫(な)からんと




 この詩のなかの「人生七十古来稀なり」から、七十歳=古稀という熟語ができたわけだ。

 なお、これは黒川洋一郎注「杜甫」(中国詩人選集九)によるものだが、上の詩の中の「朝より回りて」とは朝廷より帰るの意であり、以下、「典」とは質におく、「酒債」は酒代の借金、「花を穿つ蛺蝶」は花の茂みをぬって飛ぶ蝶、「水に点する」は水面に尾をぽちぽちたたく、「蜻蜓」はトンボ、「款款」は緩緩とおなじで、ゆるやかにの意であり、「風光に伝語す」は春のけしきにことづてする、「共に流転しつつ」は風光は自分とともにおしうって行く、「相い賞して」は私は風光を賞しようとし、風光も私を大切にしてほしいであり、「相い違う」は、たがいに背きあうの意。



 そこで念のために書けば、この詩は以下のような意味になる。

 「毎日朝廷から退出すると春着を質におき。曲江のほとり(曲江とは池の名で長安の東南隅にあたる景勝の地。春は長安市民の行楽の地としてにぎわったという)で酔いしれてから家に帰る。

 酒手の借りはあたりまえのことで行く先々にあってかまわないが、古来七十まで生きた人はめったにいない。(この言句は中国のふるい諺であったらしいという)花の茂みをぬって行く蝶は奥深くに見え、水に尾をたたくトンボはゆるやかに飛んでゆく。

 春の景色にことづてよう。私もおまえもともに時間の上を流転つつ、しばしお互いに大切にしあってソッポを向かぬようにしよう。(主として黒川注による)




 平均寿命の延びた今日の日本人にとっては、「人生七十」ぐらいは決して稀ではない。したがって、杜甫のようにヤケ酒をのむこともない。ましてや「酒債尋常」など、とんでもない。そんな御仁は文字通り七十までもちません。




SAMMY-P

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